チェンバロ

題目:古楽の誘い 古典楽器によるソロとアンサンブル
日時:2021.03.14
場所:富山市民プラザ
団体:富山古楽教会

「バッハの時代はどのように響いていたのかを知りためにあえて古楽器を用いて演奏する」というのが目的。
同時の演奏風景が垣間見られ、現代のコンサートとは違った演奏形式や聞き慣れない音色は新鮮でした。
これだけ技術が変化しながらも、あえて古楽器を使用する奏者の気持ちが何となく理解できました。

<チェンバロ>
チェンバロは通奏低音の低音パートが主のため地味ですが、実は演奏が難しい。
一般に楽譜上では低音部の旋律のみが示され、奏者はそれに適切な和音を付けて演奏しなければならないからだ。
また、現代ピアノのような金属フレームの構造ではないため、ピアノよりも弱いギター並みのゆるい張力しかなく、
音の強弱の表現は難しく、テンポやリズムの変化で音楽を表現していた。

そんな構造のため、温度や湿度等の変化に影響され、弦楽器同様に何度も調弦が必要で、当時の苦労が伺える。
でも最近ではスマホ「cleartune」というチューナアプリがあれば、 休憩時間内で素早く調律できるというから、
何だか複雑な気持ちになりますね。

また、バッハの時代はチェンバロでしたが、モーツァルト時代のピアノは60鍵、ベートーベンの時代のピアノは68鍵、ショパンやリストの時代のピアノは79〜88鍵と音域が徐々に広くなり、音楽の幅も広がっていった。
なお、88鍵は人が聞き取れる限界の高さ・低さと言われている。
しかし、ベーゼンドルファー製「インペリアル」で低音部に黒鍵8鍵増やし、倍音を弾けるようにした97鍵の特殊なピアノも存在する。

<ヴィオラ・ダ・ガンバ>
金属棒(エンドピン)無く、足で挟んだ実演奏は新鮮だった。
曲の表情に合わせて楽器の角度を変えられ、表情豊かに演奏できるメリットがあるが、演奏し難いというディメリットがある。
ヴァイオリンの顎あてと弓との角度の関係と同じですね。
ちなみに、バロック以降は金属棒(エンドピン)が付いた。

<バロックバイオリン>
バイオリンは他の楽器に比べて、バロック時代からそれほど変わってはいない。
「バロックバイオリン」を改良したのが「モダンバイオリン」になり、ストラディヴァリやグァルネリがこれに当たる。
また、バロック時代の楽団員は今と比べて少なかったので、指揮者がいなかったため、
コンサートマスターが指揮を兼ねて演奏する 「弾き振り」が行われ、その様子も実際に再現して頂き、これまた新鮮だった。

<バロックリコーダー>
昔は一本の木から作られていたが、古典時代には3パーツ(頭管部、中管部、足管部)に構成され、現在も変わっていない。
「2本のリコーダーのためのソナタ」は良かったです。

<フラウト・トラヴェルソ>
木管楽器の古楽器横笛、 フルートの祖先ですね。
吹いてみたいなぁ〜


題目:森麻紀 鈴木優人 デュオコンサート
日時:2021.12.15
場所:高岡文化ホール
曲目:
バッハ:平均律1番
バッハ:教会カンタータ第61番
バッハ、グノー、サンサーンス:3つのアベマリア
モーツァルト:ロンドイ短調
メンデルゾーン:オラトリオ「エンヤ」より 主のみ前に口をつぐみ忍びて
マスカーニ:アベマリア
伝承曲(ヘイズ編曲):飼い葉の桶で
伝承曲(ヨン編曲):みどり子イエス
アダン:オー・ホーリー・ナイト
チャイコスキー:くるみ割り人形より  金平糖の踊り、中国の踊り、
ヘンデル:歌劇「リナルド」より 涙の流れるままに
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ
ヘンデル:歌劇「エジプトのジューリオ・チェーザレ」より つらい運命に涙はあふれ

バッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者でもある鈴木優人さん、父が鈴木雅明さんと共にバッハの愛好家。
演奏されたのもバロック時代の曲が多く、チェンバロとの演奏は、その時代を彷彿させてくれるような
穏やかな感じ、4種類の「アベマリア」を聞くことができた。
ちなみに「アベマリア」とは「おめでとう、マリア」という意味で、「曲名」ではなく
「ジャンル名」で、多くの人が書いている。

マルティン・ルターがラテン語で書かれた聖書をドイツ語に翻訳して世に広め、
バッハはその中で育ったため、宗教音楽に興味を持ち、教会に就職した際に毎週教会カンタータを作り、
数多くの曲を残した。

「平均律」とはオクターブを調和させる時に生じるズレを、均等に振り分けたものでこれにより転調も可能になり、
その逆が純正律で整数比で完全に混ざり合い、響きは良いが転調が出来ない。

「フーガの技法」とはバッハが未完成のまま死後に出版された曲で、楽器の指定がないもので、
対位法とは「2つのメロディーを、同時にキレイに響かせるための音楽理論」でどんな曲にも組み込まれている。

これらバッハが作った「平均律」「対位法」「五線譜」などは、クラシックだけでなく、
音楽を表現する上で無くてはならないもののため、「音楽の父」と呼ばれている。

森麻紀 鈴木優人 デュオコンサート


題目:曽根田駿 チェンバロコンサート
日時:2022.03.27
場所:ボルファート富山
曲目:
J.ブル:プレリューディウム
W.バード:ネヴェル夫人のグラウンド
G.フルスコバルディ:トッカータ 第8番
作者不明:フィレンツェのアリア
J.フローベルガー:トッカータ
L.マルシャン:組曲U短調
J.バッハ:トッカータ ハ短調

富山市の古楽器アンサンブルユニットの企画で行われた「曽根田駿 チェンバロコンサート」 で、
2種類のチェンバロの音色が聞ける贅沢な企画。
バッハが若い頃に作曲した「トッカータ ハ短調」は、「複数の転調や速いパッセージなど多々あり
弾くのは難しい」という解説を受けた後での演奏は為になりました。

ちなみにトッカータとは「触る」という意味のイタリア語。
昔のチェンバロやオルガンは、大きな宮廷に教会に置かれていましたので、
湿度や寒暖の差で調律が狂い易く、鍵盤の動き自体もぎこちなくなり易かった。
演奏前にそれらを確認するために試し演奏(スケールやアルペジオ)が必要になり、それが「鍵盤に触れる」という
「トッカータ」が生まれました。
頑丈なピアノになった現在では、そこまでする必要はなくなりましたね。

曽根田駿 チェンバロコンサート


題目:平井み帆 チェンバロコンサート
日時:2022.06.18
場所:ボルファート富山
曲目:
D.スカルラッティ:ソナタイ長調K144
G.フレスコバルディ:カンツォーナ第1番
A.スカルラッティ:アルペッジョ
D.スカルラッティ:ソナタイ長調K208
P.D.パラディエス:ソナタ第9番イ短調
D.スカルラッティ:ソナタヘ短調K69,184

チェンバロと旅するイタリア・バロック150年のサブタイトル。
バロック時代の曲の特徴の通奏低音(文字通り最初から最後まで演奏される低音/バスパート)を
オシャレな教会で聞くとその世界に入ってしまいますね。

パッヘルベル/カノンとジーグが有名(3本のバイオリンとチェロ)が有名。
チェンバロやチェロ+オルガン、リュートを用いて2〜3名のグループで演奏
音符の上に数字が書いてあって、それを見ながら左手が和音、右手が即興で飾る。
(数字が書いていない場合は3度と5度上の音を足す)

通奏低音を奏でることで、メロデーが強調されるようになった時代でもあります。
これより前はルネッサンス時代になり、対位法を取り入れたポリフォニー音楽、
分かりやすく言うなら「カエルの歌」「フーガ」「カノン」のような各パートが追いかける音楽。
随分と変わりましたね。

平井み帆 チェンバロコンサート