コントラバスの修理

某リサイクルショップで売られていたコントラバス。
弦、テールピース、エンドピン、ブリッジなどが取り外され、本体は一部亀裂が入った状態だったので買い手が全くいないみたい。
しかし、F孔を除くとなんとチャキのコントラバスD-2(1969年製)の名器であることが判明。
(チャキ(茶木絃楽器製作所)は、第二次大戦後(1947年)から日本のコントラバス業界を牽引してきた京都のメーカー)
せっかくなので購入して修理してみることに。

<1.本体の亀裂や隙間>
本体の亀裂や隙間部分に、先ずは天然接着剤「にかわ」を使用してみたが、
接着力が弱かったので木工ボンドを塗布して万力で固定すること1日、何とか改善できた。
最後にニスを塗って表面。

<2.魂柱の間>
本体の中で転がっていた魂柱、弦→駒→表板→魂柱→裏板へと音(弦の振動)を伝える重要な役割を持つ。
専用工具「魂柱立て器」で本体の中に立てるのだが、想像以上に苦戦した。

<3.テールピースと固定ワイヤー>
テールピースはデザインチックに彫刻されたものをネットで購入し、ワイヤーを通す穴を加工して使用。
ワイヤーはホームセンターに売られていたφ2mmのものを代用、留め具もそれに合うものをチョイス。

<4.駒(ブリッジ)の加工>
メイプル製3/4(材質:ナツメ、大きさ約34cm)ので未加工品をネットで購入し、
グラインダーと彫刻刀で高さと角度を調整して、弦も通せるように。

<5.弦の選択>
コントラバスの弦の材質はガット(羊や牛の腸)、スチール、ナイロンの3種類があり、劣化が少ない安定しているスチール製を購入。
φ2.5、φ2.2、φ1.8、φ1.4のサイズを。

<6.底部エッジの代用>
黒檀などの硬い木を用いられるのだが、破損していたため、1mmのアルミ板を適度の大きさに加工して代用。
最後に黒色の艶消しスプレーで色付けして。

<7.エンドピンの穴加工>
市販のエンドピンを購入したが、本体に嵌らなかったので、ドリルで穴加工して圧入。
少しテーパーを付けるのが難しく、特殊な刃物を使用。

とまぁ〜いろいろ補修して何とか完成。
コントラバスらしい音が出て、生き返ったみたいで感動デス。
コントラバスのサイズはW 70p×D 23p×H 183pと、自分の身長よりも大きく、そこから発するずっしりしたサウンドはたまりません。
チューバやファゴットと同じような音域ですが、特に特有の音色(ピチカートなど)はどの楽器も補えないもので、ジャズには必要不可欠なものですね。

ちなみに、コントラバスはバイオリン、ヴィオラ、チェロとは、弦の巻き上げや調弦やで微妙に異なる。
・調弦・・・バイオリン、ヴィオラ、チェロは隣の弦との音程が五度になっているのに対し、コントラバスは四度。
・弦の巻き上げ・・・バイオリン、ヴィオラ、チェロはネックの上のペグで弦を調整するが、より強く張るコントラバスはネックの後ろのギアードペグを使用している。


某リサイクルショップで売られていたコントラバス

チャキのコントラバスD-2(1969年製)と判明

本体の隙間を補修

ニスで塗膜を張る

魂柱を再設置

いい感じに魂柱 立ちました

デザインチックなテールピース

ホームセンターのワイヤーで固定

ブリッジに弦を通す溝加工を

黒檀/底部エッジの代用したアルミ板

本体底部を穴加工

市販のエンドピンを圧入

スチール製の弦を通していく

ようやく完成。

弓に松やにを塗って

低音のずっしりした音色 & ピッチカートもイイ感じ