フルート


フルートは他の楽器とは異なり、息が歌口のエッジに当たり、楽器の外と内に分かれた際に生じる
カリマン渦が空気を振動させることで音が鳴る。
フルートの楽器の長さは、リコーダー(2オクターブ)よりも長いため、1オクターブ低い音い3オクターブを鳴らすことが出来る。

全て口や腹など見えない部分のコントロールのため、教える側もある程度ボキャブラリーが無いと大変です。
人それぞれ唇の形や骨格も異なるため、これが正しいと断定できず余計に難しい。
ひたすら自分の音を聴いて修正していく作業のため、根気がいりますね。

<材質>
フルートの音色は材質によって音色が変わり、洋銀、銀、金、プラチナ、木(グラナディラ)など、高価なものほど良い音色が出ます。
メッキによっても音色が変わり、逆に酸化することで固くなり音の伝達が早くなるため、メッキしない総銀製が良い音色という人もいます。
結局のところ、自分の好む音が出るかどうかが、楽器を選ぶ基準になる。

@白銅(Cu+Ni)
・銅とニッケルの合金。
・耐久性があり安価で100円玉と50円玉と同じ材質。

@洋白(洋銀)(Cu+Zn+Ni)
・銅、亜鉛、ニッケルの合金。
(別名は洋銀・ニッケルシルバー・ジャーマンシルバー)
(汗に弱いので銀メッキは欠かせない)
・軽量な材質でのため、楽器にはキィに多く使われている。
・500円玉と同じ材質。

@銀(Ag)
・白銅・洋白よりも重いが、音に迫力があり柔らかい音色も出せ、フルートにの音には最も良いとされている材質。
・ネックレスや貴金属と同じ材質。

@金(Au)
・5K、8K、9K、14K、18K、24Kとカラット(K)によって音色が異なる。
・純金に 0.1%程の銅もしくは銀を混ぜ、強度を持たせている。
・プロのオーケストラが使う材質で重いが、音の響きは良い。

@プラチナ(Pt)
最も高価で家が建つくらいの値段。
また実際に持ってみると非常に重く、吹いている間に疲れてしまいそうなほどデス。

@木(グラナディラ)
・正式名称はアフリカン・ブラックウッド、非常に硬い材質で、水に沈むほど比重がある。
・ピッコロ、クラリネット、オーボエに使われている木材で、金属にはない柔らかく音色は非常に魅力的。)

@プラスチック
今流行りの「ヌーボ」NUVOのstudentflute、しかし実際のフルートとは異なる吹き方で、練習には適さない 。

<構造>
フルートの材質の違いで音色は変わるが、構造でも変わる。
キーにはリングキーとカバードキーがあり、リングキーは特殊な奏法のために用いられるが、
アマチュアにはその曲にあたることはほとんどない。
リングキーの音色はトーンホールから音が発せられるので、奏者には聞こえは良いが、
離れた場所から聴くと違いはさほど感じられない。

逆にリングとカバードの差よりも、フルートのトーンホールの
製作方法/ソルダード(管体のパイプに別に作ったトーンホールのパーツ/チムニーをハンダ付けと
ドローン(管体のパイプから直接トーンホールを作る/引き上げ)の差が大きく
それよりも歌口のカットの差が音色や表現への影響は大きい。

私が使用しているフルート「YAMAHA YFL-411」

リコーダーとフルートの音の発生メカニズム

頭部管、胴部管、足部管

頭部管の歌口、息の半分を管体に中に吹き入れ

C管(最低音がド)の足部管

1ヶ月でようやく音が出るようになった


フルートの構造

フルートの構造を知りたく、「Y-27416 コダケフルート K22」を購入して解体してみた。
コダケフルートとは、ニッカンフルート(現YAMAHA)から独立した会社で、
ムラマツフルート同様にハンドメイド品は個性があって面白いです。

頭部管、主管、足部管のそれぞれのネジを順番にバラすだけの作業だが、
細いシャフトやネジを用いているため、曲がらないか心配になるほど。
ただ、既に廃業した入手困難なフルートだけに、メンテも大変です。

Y-27416 Kotake フルート K22

けっこうな部品点数

頭部管の内部

部品を外した主管

タンポに隙間が生じないように組み直すのが大変
内部にに光を当てて、光の漏れがないかで判断する

タンポもこんな感じ



ミヤザワフルート駒ヶ根工場を見学

工場見学してみて、勉強になったことを以下にまとめました。
・販売先は海外7割、国内3割(池袋にアトリエを設けて販売)
・金製は田中貴金属様と提携、パイプ状に伸ばすのにも技術が必要とか
(金だけでも6000円/g→9000円/gと原料UPでかなり大変そう)
・フルートの作られる工程は以下
管体のNC加工→台座ポスト半田付け→キィなど仮組み付け→研磨&メッキ→タンポ付け→検査
・加工から出荷までに約2ヶ月かかる
・引き上げの治具は自社で設計されている
・細かい半田付けは若い女性が作業されている(私みたいな老眼だと厳しい)
・粗・細の2種のバフ研磨を使用していたが、ショットブラストの方が作業が速いかもしれない
・隙間の検査はテープ0.05mm、紙0.015mmといったもので対応
・バネは一般的にステンレス製と貴金属製の2種類、安価なフルートにステンレス製を用いられている
(ステンレス製の方がレスポンスがいいので、個人的にはこちらが好き)

ミヤザワフルート工場

実際に加工現場を見て