アップライトピアノ |
自宅のアップライトピアノは「YAMAHA U10B1」。
1987年(昭和62年)頃に製造された年期が入ったものですが、今でも快適に弾けます。
アップライドピアノの音が鳴る原理は、
鍵盤を押す→アクションが反応する→ハンマ−が横から弦を打つ→弦の端の駒が反応する→響板に振動が伝わる→音がする。
年に1度の調律のため、ピアノを開けてみました。
鍵盤を全部外して、内部に溜まったホコリを掃除機で吸い取り、その後は88鍵盤 全てのの高さや動きを確認し、
鍵盤の高さが低ければ、パンチングペーパーを挟み、音程が悪ければ、ハンマーで弦の張りを調整する。
地未知な作業で結構時間がかかるので、夏場は辛いかもしれませんね。
ピアノの内部を詳しく知ることが出来て勉強になりました。
アップライトピアノ「YAMAHA U10B1」
外蓋を開けと縦に弦が並んでいる。
裏側の鉄のフレームで弦を支え、アルミのバーでハンマー周辺を支える
鍵盤を全て外した状態。内部をホコリを掃除機で吸い取る。
暑さ0.1mm、0.2mmと薄い丸い紙(パンチングペーパー)で鍵盤の高さを調整する。
紙は湿気を含みやすいので、除湿器は如何に大切かが分かりますね。
消音ピアノのため、ハンマーの裏に金具が取り付けられていて、その鍵盤の動きをセンサーが読み取る仕組み
鍵盤の下まで弦がきている。ペダルを踏むことで弦の開放など調整できる。
ハイブリット電子ピアノ |
この弦と響板を無くしたのがハイブリッド電子ピアノになり、私が以前所有していた「YAMAHA NU1」は
アップライトピアノそのままのタッチ感で演奏ができ、ヘッドホンを装備すれば夜でも気軽に弾ける。
アクションの動きの強弱/速遅をセンサー感知し、その動きに見合った電子音が鳴るが、
音の強弱の範囲が限られで、どうしても表現力は劣ってしまう上、
あくまでも録音された音が鳴るため、音楽的要素にかけてしまう。
で、今回は鍵盤の動きが悪くなったので、業者にメンテナンスを依頼。
ハイブリッド電子ピアノはアップライトピアノの弦やダンパーが無いだけなので、
メンテ方法は7割ほど同様な作業になる。
鍵盤の動きの要である回転軸にはフェルトが用いられていて、湿気を吸うと鍵盤の動きが悪くなっていた。
鍵盤ひとつずつ外せしてフェルトの硬さを調整し、最後にローのような潤滑剤を塗って対応。
調律は不要なため維持費は安いが、電子部品/センサーの寿命は約10年ほどで、徐々に音が悪くなってくる。
(10年経つと電子部品の在庫もなく、オークションで落札するしかないですね)。
また、他社メーカーはこの鍵盤1本ずつバラしが出来ないので、不具合が起きても調整が難しく、
保証期間がヤマハのハイブリッドに比べて寿命が短い(ここが注意点)
ハイブリッド電子ピアノ「YAMAHA NU1」
外蓋を開ける。
ハイブリッド電子ピアノの構造。
ハイブリッド電子ピアノハンマー。
ハンマーの軸周りはフェルトで作られていて、動きが悪い場合はそのフェルトの穴を広げる。
最後はピアノ専用の潤滑剤(ロー)を塗って終了。
鍵盤には88までのNoが刻印されている。
鍵盤の底部にセンサーが取り付けられていて、この部品がスリット部を通すスピードを感知して、音の強弱を表現している。
静電気や湿気でほこりがたまっていて、鍵盤を外して掃除機でキレイにする。
グランドピアノ |
グランドピアノの特徴として
・鍵盤を押す→アクションが反応する→ハンマ−が下から弦を打つ/テコの原理→弦の端の駒が反応する→響板に振動が伝わり音がする。
・ペダルを踏む→ダンパが上がる→弦が振動しっぱなし→音が鳴りっぱなし。
・ハンマ−は自重で下がるため、連打が14回/秒可能(アップライトピアノは7回/秒)
・響板からの音を直接、耳にしながら演奏できるので、音の感覚の上達が早い。
・ピアノが置かれている部屋の広さや音響効果で音が左右されるので、それに見合ったピアノ選びが必要。
・お店のピアノは弾きならされていないため硬い音(鍵盤は重い)が、中古品は経年劣化や使用者の好みの調律になっているため
軟らかい音(鍵盤が軽い)に感じられる。
・ピアノは木製のため部屋の喚起は必要で、ピアノカバーも基本は風通しは良くないのでお勧めできない。
雨の日は逆効果のため戸は開けない方が良いが、特に梅雨時期は乾燥剤要(屋根の中に水取ぞーさんはNG)、冬はヒーターもNG。
・ハンマーと弦の間にストッパーがセットされ、弦を鳴らさないようする消音ユニットとしても売られていて、
代わりに鍵盤の動きをセンサーが感知して電子音が鳴るが、鍵盤が重くなるというディメリットがある。
理想的なのは夜はハイブリッド電子ピアノで練習し、昼はグランドピアノで練習する、いわゆる2台持つことが理想かもしれませんね。
そんなお金があれば良いのですが・・・
そんな憧れのグランドピアノの構造を理解したく、実際に中を見て更に調律してみました。
ピアノの下のノブを回せば、簡単に鍵盤が引き出せるたのには、ちょっと驚き。
演奏会では休憩時間に調律するため、これぐらいのシンプルな構造でないと時間足りないですものね。
ハンマーを回転させ音を聞き、うねりがないか確認(意外と素人でも聞き分けられる)。
更に細かいな音はチューナーを使用する。
調律師の映画『羊と鋼の森』を思い出しますね。
実際にグランドピアノを調律、ピアノの下のノブを回して、鍵盤を引き出す
鍵盤の構造、かなり複雑
鍵盤の奥はこんな感じ
ハンマーを回転させ音を聞き、うねりがないか確認(意外と素人でも聞き分けられる)
グランドピアノの構造
アップライトピアノはグランドピアノを立てにした構造
アップライトピアノのカバーを外したところ
弦を押して鳴っている状態
<調律について>
完全5度(3/2)を積み上げた音階で、1<音階<2として、1オクターブを12音階にした。
ピアノの鍵盤が12本あるのもそのためで、これがピタゴラス音律という。
「ド」と「ソ」がキレイな和音
「ド」と「ソ」と「ミ」が明るい調(メジャー)→4:3:5
「ド」と「ソ」と「レ#」が暗い調(メイナー)→3:4:5
ピタゴラスの定理 32+42=52 になる。
「ド」の1オクターブ上の「ド」は2.027=2としたので、1オクターブ上/下ではズレが生じ、
これが「うなり」となってキレイな音にならないため、現在では使われていない。
(バイオリンではファ#>ソ♭の差がピタゴラスカンマ分)
キレイに平均した音になるように計算すると
(X*X*・・・・・)/12=2 → X12=2 → X=1.059
となりこれが「平均律」になります。音階で表すと
ピタゴラス音律:ド→ソ→レ→・・・
平均律*ド→ド#→レ→・・・
グランドピアノは平均律で調律されているため、本体形状は指数関数の曲線を描いている。
しかし、「平均律」でも和音に少しうねりが生じるため、それを改善したのが「純正律」である。
「純正律」と「平均律」は「ラ」の周波数は同じだが、それ以降は微妙に違い、
「純正律」は和音がキレイだが、「平均律」は和音に少しうねりが生じる。
「純正律」はその調で一番調和する音程で作られていて一見素晴らしいが、
ある調の調律で別の調を演奏するとキレイな音にならないといディメリットがある。
つまり、転調する度に調律しなおさなければならず、その都度演奏を止めることになるピアノでは
「純正律」は採用されていない。
なお、金管楽器は自然倍音が純正律ですが、合奏すると上記ディメリットがあるため、
調律の概念は薄く、その都度合わせます。
弦楽器はピタゴラス律でチューニングしますが、金管打楽器と混じるオーケストラでは
同様にその都度合わせます。