バイオリンの構造 |
テレビで放送していた「ストラディヴァリを科学する」を見てバイオリン作りに興味を持ったが、
いきなり手作りするのも難しいので、先ずは市販のものをバラして構造を調べてみた。
日本人で最初にバイオリンを作った鈴木社製のバイオリン「1974年 1/10 No.130 オールド」が、
ちょうど格安販売されていたので。
バイオリンの表板・裏板・横板は、動物のゼラチン質(コラーゲン)から出来ている「膠(にかわ)」を接着剤として固定されている。
70℃以上で加水分解する特性を利用して、分解・補修する出来るようにしてあり、バイオリンは何十年も演奏できるのだ。
ちなみに、中国製の安いものはこのような手入れが出来ないので、不具合が起きても修理は難しいのだ
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No
部品名
特徴
1
表板
振動響板の役割を持ち、スプルース(ドイツ唐檜やフィヒテ)が使用されている。
「松」の一種(日本のクロマツではない)で、ベイトウヒ(米唐檜)とも言う。
軽い割りには強度があり柔らかさも兼ね揃えているので、バイオリンの中で最も重要な振動響板の役割を持つ表板に用いられる。
5年以上は太陽と空気にさらして十分に乾燥された要するため、かなり高価。
(魂柱もスプルースで作られている)
2
バスバー
表板の補強及び音の振動を伝える。
3
裏板
振動響板の役割を持ち、メイプル(楓)が使用されている。
「楓」の一種(日本の楓ではない)で、主にボスニア地方の楓になる。
裏、側板は自らも振動しますが、むしろ表板の松材を効果的に振動させる役割を持つ。
杢(虎杢)と呼ばれる強い筋が特徴で木目とは違う。
4
側板
水を沁み込ませ、アイロンかけて徐々に曲げて作る。
5
ブロック
側板の補強目的で、表板と同じスプルースが使用されている。
6
ネック
糸巻き(ペグ)を支える。彫刻刀で仕上げる芸術品。
7
ペグ
弦の張りを調整する。
8
上ナット
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9
指板
弦の摩耗に耐えられよう堅くて耐久性のある黒檀が使用されている。
10
エンドピン
バイオリンの弦の張力を全て受けている。
11
あご当
あごを当ててバイオリンを支え演奏する。
12
肩当
肩を当ててバイオリンを支え演奏する。
13
魂柱
(サウンドポスト)
バイオリン全体の補強で背骨みたいなもの。音の振動を裏板にいち早く伝える。
14
テールピース
4本の弦を引っ掛ける。
15
駒
(ブリッジ)
弦の振動をバイオリンの表板に伝える。
16
弦
ガット弦(羊の腸)、スチール弦(安定性、耐久性が持ち味)、ナイロン弦(概ねこの材質)で材質の違いで音色も変わる。
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本を見ながら分解するとよりも構造が理解できて楽しめました。
No
部品名
特徴
1
ヘッド
うっかり手から滑り落とすと、運悪ければ割れてしまう。溝掘って支板を差し込んで修理する。
2
スチック
(棹)
曲げ強度に優れたフェルナンブコ材やブラジルウッド材が使用されている。
3
チップ
弓の先端を保護する。
4
弓毛
馬のシッポ毛を脱色したもの。
5
ラッピング
(巻き線)
弓のバランスとするための重りで、洋銀、銀、合金などが使用されている。
6
サムグリップ
(パッド)
動物の皮で出来た指の滑り止め。
7
フロッグ
(毛箱)
束になった毛を固定する。材質は 硬くて摩耗し難いエボニー(黒檀)材が使われることが多い。
8
スクリュー
アジェスター
毛の張りを調節する部品。
9
アイ
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10
スライド
フロッグ(毛箱)のカバーで、装飾部品。
ちなみに、参考文献はヴァイオリン マニュアル 日本語版(著者 ジョン・ゴスリング/マーカス・コーリー)
これほど薄い板に約20kgの弦の張力が加わり続けるのだから、その耐久性にもビックリ。
高価なバイオリンを修理する人は、結構神経使いますね。
補修の出来具合で音が左右されるバイオリン技師も大変な仕事です。
いろいろ調べてみると今度はバイオリンを実際に作ってみたくなりましたね(笑)。
ちなみに、「東洋のストラディバリ」と言われた陳昌鉉(チン チャンヒョン)さんは、戦後の日本で在日韓国人として様々な苦労を乗り越えながら、
誰からも教わることなくバイオリンを作り、その音色はアメリカヴァイオリン製作者協会から評価されるほどの楽器職人になった。
その人生を描いたテレビドラマ『海峡を渡るバイオリン』を思い出しますね。